機械語と数学とことば

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【読書】増補版 煩悩の文法 定延利之著

久しぶりの投稿。 新宿西口のブックファーストでふと気になったことから、手に取ってみて、

中身が面白かったので即買ってしまったこの本。

本との出会いは不思議なもので、たまたまちょうどその時考えているテーマを、

あえて拾っているのか、それとも偶然拾ってしまうのか。

日本語の仕組みを研究する言語学者の方が書かれていて、「認知モデル」についての言及もあり、

つまらない日本語の文法研究とは大きく異なる、「体験を語る」ときの、

日本語の文法の面白さが紹介されています。

著者は「モノ」と「デキゴト」を区別するのが、日本語である、と述べるところから始まり、

「モノ」について語るはずが「デキゴト」になって語られてしまっている、

例えば文中では

庭に木がありましたよ。

というのが普通の言い方であり、

庭で木がありましたよ。

というと不自然に思えてしまう反面、

北京で四色ボールペンがありましたよ。

というと自然なのは何故なのか、という問いから論を展開していきます。

その違いとは、「ワクワク型」の体験と、「ヒリヒリ型」の体験については、

「モノ」が「デキゴト」になって語られる、探索される空間と衝撃の大きさを、

文法構造で表現してしまう、そんな日本語の特性をあらわにしています。

最近ずっと関心があるのが、「日本語プログラミング」なのですが、

日本語の語順と、英語の語順の違い、そして、アセンブリ言語の語順を比較したり、

文脈情報を規定して動詞を指定する日本語の書かれ方、

主語を除いて語られても伝わってしまう日本語の特殊性、

など、色々なことを考えている中に、大変刺激的な本でした。

もしよかったらぜひご一読ください。